豚肉の栄養の特徴
豚肉は糖質をエネルギーに変える「ビタミンB1」が豊富
豚肉はビタミンB群が豊富で、特にビタミンB1は100gあたりに含まれる量があらゆる食品の中でトップクラスです。
鶏肉や牛肉などの他の肉類と比べても、5〜10倍のビタミンB1を含んでいるといわれます。
ビタミンB1は、ご飯やパンなどの糖質を体内で燃やしエネルギーへ変えるために必要な栄養素です。
ビタミンB群は疲労回復のビタミンと呼ばれることもあり、筋肉に乳酸が溜まるのを防いでくれるため、疲れやすい方やスポーツなど活動量が多い方は、より意識して摂取する必要があります。
豚肉100gあたりの部位ごとのビタミンB1含有量は以下のとおり。
- 豚ヒレ肉:0.98mg
- 豚モモ肉:0.9mg
- 豚ロース肉:0.69mg
- 豚バラ肉:0.54g
牛ヒレ肉(和牛)0.09mg、鶏ささみ0.09mgなので、牛や鶏肉の10倍以上。
1日当たりの摂取量の目安は、成人男性で1.4mg、成人女性で1.1mgとされています。
女性なら豚ヒレ肉100gちょっと食べれば、1日の必要量を満たせます。
ビタミンB1は体内に貯めることができないため、毎日の食事に積極的に取り入れていきましょう。
アミノ酸のバランスが良い「良質なタンパク質」
タンパク質には動物性と植物性の2種類があります。
植物性の方が体に良さそうだと思われがちですが、実は植物性タンパク質だけでは、体内で作られない必須アミノ酸を十分に摂ることができません。
動物性も植物性もバランス良く摂取することによって、健康な体を作ることが可能になります。
その根拠として、「タンパク質スコア(プロテインスコア)」と「アミノ酸スコア」をご紹介しましょう。
タンパク質スコア(プロテインスコア):
食物に含まれる必須アミノ酸の量を数値で示したもので、100に近い数値であるほど理想的です。卵のプロテインスコアは100、豚肉は90、大豆は56となっています。
アミノ酸スコア:
9種類の必須アミノ酸のバランスを示し、タンパク質の「質」の指標となるものです。
9種類全ての必須アミノ酸が摂れていればアミノ酸スコアは100となりますが、1種類でも必要量を満たしていないと、アミノ酸スコアは減少してしまいます。
すなわち、8種類の必須アミノ酸が100%摂れていたとしても、残り1種類が60%しか摂れていなければアミノ酸スコアは60に下がってしまい、その結果として、体内で十分なタンパク質を生成できなくなるのです。
こうしたことから、動物性と植物性、両方のタンパク質をバランス良く取り入れ、必須アミノ酸を十分に摂取することが重要だといえます。
ダイエットのみならず、健康な体を維持するためにも、動物性だけ、植物性だけというような偏った食生活は避けましょう。
コレステロール値を抑える「不飽和脂肪酸」
脂というと太るイメージがあるかもしれませんが、脂溶性ビタミンの吸収を促してくれるので、適度な量は人間の体にとって欠かせません。
豚肉100gあたりの部位ごとの脂質量は以下のとおり。
- 豚ヒレ肉:1.9g
- 豚モモ肉:10.2g
- 豚ロース肉:19.2g
- 豚バラ肉:34.6g
牛バラ(和牛)が50g、牛バラ(輸入)が32.9gなので、脂質は牛肉より少なめ。
豚肉には血中のコレステロール値を抑えてくれる「不飽和脂肪酸」の、オレイン酸とリノール酸が多く含まれています。
牛肉よりも多く含まれているのが、必須脂肪酸である「リノール酸」。
必須脂肪酸は体内で作れないため、食品から取り入れる必要がある栄養素です。
豚のエサにはリノール酸を含む植物系の飼料が配合されていて、リノール酸が飼料に多く含まれているほど柔らかな肉質となります。
飽和脂肪酸:
肉や乳製品などの動物性脂に多く含まれる。溶ける温度が高く、バターやラードなど常温で固まる性質を持つ。加熱しても酸化しにくい。
不飽和脂肪酸:
植物(アマニ、菜種油など)や魚(EPA、DHAなど)の脂に多く含まれる。低い温度でも溶け、10〜20℃程度の室温でも固まらない性質を持つ。飽和脂肪酸に比べて酸化しやすい。
まとめ
普段から何気なく食べている豚肉ですが、たくさんのうれしい栄養素が含まれています。
カロリーは豚肉の部位によって偏りがありますが、気になる糖質はほとんど含まれていないので、ダイエット中には食べる部位や量を調整して、おいしく食べてみましょう。
とはいえ、食事の偏りはよくありません。
豚肉を主菜として食べるときには主食、副菜もそろえたバランスの良い食事を目指しましょう。